2021年2月10日
パチンコ店の12月の売上は減少幅がやや拡大
経済産業省の特定サービス産業動態調査によると、2020年12月のパチンコ店売上高(全数調査ではない)は220,701百万円で前年同月に比べ20.3%減少と前月(-19.2%)より減少幅が1.1ポイント拡大しました。
売上の前年割れは2019年7月から1年6か月連続で、売上回復の勢いは2020年7月(-17.2%)をピークに頭打ちとなっています (下のグラフをご参照ください)。
足元の動きも売上に貢献するような材料は見当たらず
最近の動きは、状況が急激に好転するような目立った材料は特になく、売上の頭打ち感は続いているとみたほうが妥当でしょう。
加えて、政府が1月7日から発出している緊急事態宣言によるパチンコ店への直接的な影響は確認できないものの、意識的に遊技を避けるパチンコユーザーが多かれ少なかれ存在することも否定できません。
ちなみに、緊急事態措置は、1月7日から3月7日までの間、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県の10都府県に対して実施されています。
パチンコ支出につながる消費マインドは再び低下へ
パチンコへの支出を考えるにあたって、家計消費支出(前年同月比)をみると、消費税増税の影響もあり2019年10月以降、前年を下回る傾向にあるなか、2020年10月(1.9%)、11月(1.1%)には一時プラスに転じましたが12月は-0.6%と再び減少しました。
一方、世帯収入(前年同月比)は増加が続いていましたが、2020年12月は-1.3%と、2019年12月(-1.9%)以来、1年ぶりにマイナスに転じました。
パチンコ支出の出所である雇用所得環境の悪化は一服感あるも予断は許さず
この間、雇用情勢を示す代表的な指標のひとつである有効求人倍率は2019年5月以降、低下傾向で推移してきました。
しかしながら、2020年9月の1.03を底に10月は1.04と一旦下げ止まり、11月には1.06、12月も1.06とさらに改善しました。企業の雇用意欲にやや底入れ感がみられます(2019年4月1.63→5月1.62→2020年→6月1.11→9月1.03→10月1.04→11月1.06、12月1.06)。
また、雇用喪失の動きは危ういながらもやや鈍化しているようにも見えます。
厚生労働省によると、コロナ禍による全国の解雇や雇い止めは、2月5日までに8万6551人(見込み含む)にのぼり、足元では1か月5千人程度の増加ペースです(12月5,285人、1月5,165人)。
昨年6月に2万人を超え、以降は1か月1万人規模で増加していましたが、その頃と比べると足元では増加ペースは幾分落ち着いた動きとなっています。
このように、パチンコ遊技の原資である所得をとりまく環境は、厳しさに緩和の兆しが一部みられるものの、全体としては予断を許さない状況が続いています。
パチンコ店の年間売上は前年比27%の大幅減
2020年1月から12月までのパチンコ店年間売上高は2,495,390百万円で、前年に比べ27.0%減と大きく減少しました。