2021年1月13日
パチンコ店の11月の売上は再び減少幅が拡大
経済産業省の特定サービス産業動態調査によると、2020年11月のパチンコ店売上高(全数調査ではない)は204,078百万円で前年同月に比べ19.2%減少と前月(-17.2%)より減少幅が拡大しました。
売上の前年割れは2019年7月から1年5か月連続で、このところの売上回復の勢いは一進一退となっています (下のグラフをご参照ください)。
年末年始は帰省客の減少による売り上げへの影響を懸念
最近の動きをみると、年間最大の書入れ時の年末12月から年始1月入り後にかけては、売上が大きく回復しているとの情報はほぼ目につかず、頭打ち感は続いているようです。
今回の年末年始時期は、感染症拡大を懸念した帰省自粛の風潮が広がり、人の移動はかなり減ったようです。つれて、例年ならば帰省客で賑わうパチンコ店の客足は盛り上がりに欠けたと推測するのが妥当でしょう。
パチンコ支出につながる消費マインドの低下傾向は一服
パチンコへの支出を考えるにあたって、家計消費支出(前年同月比)をみると、消費税増税の影響もあり2019年10月以降、前年を下回る傾向にありましたが、2020年11月は1.1%と、前月(1.9%)に続きプラスで推移しています。
これは2019年10月からの消費税増税による消費の落ち込みの反動との見方もありますが、その頃よりはましと捉えることもできます。
一方、世帯収入(前年同月比)は増加が続いていますが、11月は0.6%増とそれまでに比べ増加幅が縮小しています。ちなみに、5月は前年比9.8%増で、6月(15.7%増)、7月(9.2%増)、8月(1.2%増)、9月(2.6%増)、10月(2.5%増)といった次第です。
パチンコ支出の出所である雇用所得環境の悪化は一服感の一方で緊急事態宣言による先行き不透明感も
この間、雇用情勢を示す代表的な指標のひとつである有効求人倍率は2019年5月以降、低下傾向で推移してきました。
しかしながら、2020年9月の1.03を底に10月は1.04と一旦下げ止まり、11月は1.06とさらに改善しました。企業の雇用意欲にやや底入れ感がみられます(2019年4月1.63→5月1.62→2020年→6月1.11→9月1.03→10月1.04→11月1.06)。
一方、雇用喪失の動きはやや鈍化していますが、先行きには再び不透明感が漂いつつあります。
厚生労働省によると、コロナ禍による全国の解雇や雇い止めは、1月6日までに8万121人(見込み含む)にのぼるそうですが、11月27日時点の7万4,055人と比較すると1か月4~5千人程度の増加ペースと計算されます。
昨年6月に2万人を超え、以降は1か月1万人規模で増加していましたが、その頃と比べると足元では増加ペースは幾分落ち着いた動きとなっています。
しかしながら、政府が先ごろ出した緊急事態宣言の雇用への影響を懸念する声があります。
緊急事態宣言は、1月7日から2月7日までの1か月間、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の関東地区1都4県が対象となっています。
さらに、政府は、大阪府、兵庫県、京都府の関西3府県および、愛知県、岐阜県の東海2県と福岡県、栃木県に対象を拡大する方針です。
パチンコ遊技の原資である所得をとりまく環境は、厳しさに緩和の兆しが一部みられるものの、全体としては予断を許さない状況が続いています。