2020年12月9日
パチンコ店の10月の売上は前年比2割近くの減少が続くもやや改善
経済産業省の特定サービス産業動態調査によると、2020年10月のパチンコ店売上高(全数調査ではない)は216,819百万円で前年同月に比べ17.2%減少と前々月(-21.7%)、前月(-22.4%)より減少幅を縮小しました。
このところ、足踏みしていた売上回復の勢いは再び改善しています。
しかしながら、昨年7月から16か月連続で前年割れが続いていることに変わりはありません(下のグラフをご参照ください)。
新基準機のヒット機種が待ち望まれるパチスロと大ヒット機の後継機種が導入されるパチンコ
11月以降は、売上が大きく回復しているとの情報はほぼ目につかず、頭打ち感は続いているようです。
このうちパチスロは、これまで稼働をけん引してきた旧基準機が設置期限切れを迎えるにつれ、客離れへの懸念が続いています。
新基準機の6号機は、今のところ旧基準機の5号機に匹敵するようなヒット機種は生まれておらず、稼働回復のきっかけを模索している状況です。
一方、パチンコでは、遊タイム搭載機種の導入が勢いづいています。12月は旧基準CR機大ヒット機の後継機種となる「真・北斗無双3」と「大海物語4スペシャル」の新基準P機2機種が導入されています。
パチンコ店にとっては年間最大の書き入れ時に向けての導入であり、その稼働の成否が注目されるところです。
パチンコ支出につながる消費マインドの低下傾向は一服
パチンコへの支出を考えるにあたって、家計消費支出(前年同月比)をみると、消費税増税の影響もあり2019年10月以降、前年を下回る傾向にありました。
本年10月は1.9%と、前月(-10.2%)の大幅減からプラスに転じており13か月ぶりにプラス域へ浮上しています。
これは昨年の消費税増税による消費の落ち込みの反動との意見が多数を占めますが、昨年よりはましと捉えることもできます。
楽観的な見方をすると、これまで続いてきた消費マインドの低下が少しでも改善に向かうことができれば、パチンコ支出の減少にも歯止めが掛かることは期待されます。
一方、世帯収入(前年同月比)は、5月以降の特別定額給付金の支給効果が一部あるものの、増加が続いています。ちなみに、5月は前年比9.8%増で、6月(15.7%増)、7月(9.2%増)、8月(1.2%増)、9月(2.6%増)、10月(2.5%増)といった次第です。
パチンコ支出の出所である雇用所得環境の悪化は一服感の一方で先行き不透明感も
この間、有効求人倍率は2019年5月以降、低下傾向で推移してきました。
しかしながら、2020年9月は1.03にまで落ち込みましたが、10月は1.04と一旦下げ止まっており、企業の雇用意欲に底入れの兆しがみられると言えないこともありません(2019年4月1.63→5月1.62→2020年→6月1.11→9月1.03→10月1.04)。
また、足元では雇用の喪失が進行していますがその動きはやや鈍化しています。
厚生労働省によると、コロナ禍による全国の解雇や雇い止めは、11月27日までに7万4,055人(見込み含む)にのぼるそうですが、11月6日時点の7万242人と比較すると1か月5千人程度の増加ペースと計算されます。
6月に2万人を超え、以降は1か月1万人規模で増加していましたが、その頃と比べると足元では増加ペースは幾分落ち着きつつあるようです。
しかしながら、一方では以下のような有名企業を中心とした希望退職者の募集等人員削減計画が目立ってきています。
セガサミーホールディングス:希望退職者募集人数650人(2020年11月発表)
青山商事:同400人、(2020年11月発表)
スタンレー電気:同300人(2020年11月発表)
三菱自動車:同550人(2020年11月発表→12月結果公表、654人予定となる)
曙ブレーキ:同180人(2020年12月発表)
藤田観光:希望退職を含み2019年との実績比で700人の固定人員を削減(2020年12月発表)
電通グループ:海外人員を中心に6000人規模での人員削減計画(2020年12月発表)
パチンコ遊技の原資である所得をとりまく環境は、厳しさに緩和の兆しが一部みられるものの、全体としては予断を許さない状況にあります。