2020年11月3日
パチンコ店の倒産や廃業、閉店は昨年に比べ増えているとの情報は目にしますが、それが急激なのかどうかについての目立った評価は今のところ見られません。
先のコロナ禍によりパチンコ店が全国一斉休業に追い込まれた直後は、今年は店舗数が1,000店減少するなどと言われていました。
当ブログでも売上高の減少から推計すると1,800店分の減少圧力がかかることを予測しました。
実際、どのような状況なのでしょうか。
全日本遊技事業協同組合連合会が発表した「組合員加盟店舗の実態調査」によると、2020年9月末の営業店舗数は8,378店で、昨年末の8,886店に比べ508店減っています。これは月平均56店ずつ減少している計算となります(508店÷9か月=56.4店)。
このまま年末まで同様のペースで減少すると仮定すると年間で672店(56店×12か月)が減少することとなります。
これは、昨年の営業店舗数(8,886店)の7.6%に相当します。
月末に営業していた店舗数であり一時的休業を含んでいないと思われるので単純に受け止める事はできませんが、閉店・廃業・倒産の指標にはなると思います。
一方、警察庁が発表している2019年のパチンコ店の営業許可数は9,639店ですが、これを基準に考えると7.6%は733店に相当します(9,639店×7.6%=733店)。
つまり、2020年は7百店余りのパチンコ店が減少すると推計されます。
これは、2019年の減少数421店と比べると1.74倍の大幅な減少です(2019年の営業許可数9,639店-2018年の営業許可数10,060店=-421店)。
しかしながら、何も対策を打たなければ1,800店の減少圧力がかかっているところを7百店に抑えていると捉える事もできます。
その要因として以下の資金繰り面での効果が考えられます。
●政府系金融機関・信用保証協会による融資・保証の対象業種の見直しで新たにパチンコ店が対象となったり、民間金融機関において実質無利子・無担保融資が開始されるなど融資姿勢が緩和された。
●持続化給付金、雇用調整助成金、家賃支援給付金などの行政による支援体制が整えられた。
●パチンコ・パチスロ旧基準機の設置期限が延長された。
こうしたなか、2020年のパチンコ店の売上高は前年比2割程度の大幅減となりそうですので、店舗数の減少圧力は1,800店のまま変わりません。
今後、先延ばしされてきた旧基準機の撤去に伴う客足への影響や機械の入替費用の負担はのしかかってきます。
遊技客数や遊技時間が減少傾向にあるなかで売上の急激な回復は考えにくく、いかに経営を維持していけるかは、これからが正念場なのかもしれません。