2020年9月8日
パチンコ店の7月の売上は前年比2割の減少にまで下げ幅縮小
経済産業省の特定サービス産業動態調査によると、2020年7月のパチンコ店売上高(全数調査ではない)は232,891百万円で前年同月に比べ21.2%減少と前月(-31.3%)より下げ幅を縮小しました。
コロナ禍による全国的なパチンコ店休業による5月の激減(-77.5%)からだいぶ回復感が出てきました。
しかしながら、13か月連続で前年割れは続いています(下のグラフをご参照ください)。
客足は戻りつつあるが力強さに欠ける
下げ幅の縮小は客足が戻ってきている結果でしょうが、以下のような情報もみられ、常連客の減少や来店頻度の減少が指摘されています。もちろん、店舗による差はあります。
・常連だった高齢者の顔をみかけなくなった。
・毎日来店していた常連客の来店頻度が減った。
・土曜日、日曜日の来店客が減った。
・平日の夜の来店客の帰りが早くなった。
特に、高齢者は感染症への警戒感が強く、自ら来店を控えたり家族の要望を受けた来店へのためらいもあるように感じます。
パチンコ離れが続くなかでのサラ番問題の勃発
こうしたなか、懸念されるのは、売上の前年割れが13か月続いていることです。
これは、家計消費支出(二人以上の世帯、前年同月比)が2019年10月以降、前年を下回り続けている事と相関関係が見て取れます。
消費マインドが低下傾向にあるということは、当然、パチンコへの支出の減少にもつながります。
これに、以前からの広告宣伝規制や射幸性を抑えた遊技機への転換(一定期間先延ばしされてはいるが)による影響も加わります。
パチンコ離れに歯止めがかからない環境に変わりはありません。
こうした状況下、旧規則機の計画的撤去スケジュールの遵守により、業界全体が過度な射幸性の抑制に取り組んでいる中でのパチスロのサラ番問題の勃発は、設置期限の切れた台の稼働を続けざるを得ないほどひっ迫したパチンコ店が少なからず存在し、経営が必ずしも順調ではないことを反映しているようにもみえます。
特別定額給付金の支給効果による一時的な客足の下支えが続いている可能性もありうる
家計消費支出(前年同月比)は、消費税増税の影響もあり2019年10月以降、前年を下回る傾向にあります。
7月は-7.6%と、前月(-1.6%)より減少幅を大きく拡大しました。この要因ついては、新型コロナウイルスの感染が再び広がったことが影響しているとのNHK等の報道がみられます。
一方、世帯収入(前年同月比)は、ここ1年ほど大幅な減少がみられないのがせめてもの救いです。さらに、5月(前年比9.8%増)、6月(15.7%増)、7月(9.2%増)と大幅な増加が続いています。
これは、特別定額給付金の支給が行われた影響によるものとの意見が大方を占めます。
パチンコの売上への貢献も否定できないでしょう。
そうなると、支給の効果が終わった後の客足は再び落ち込みが予想されても不思議ではありません。
ちなみに、特別定額給付金の申請期限は8月31日とした自治体が多数です。
雇用意欲の減退によるパチンコ支出への影響は続く
この間、有効求人倍率は2019年5月以降、低下傾向にあり、企業の雇用意欲に先行き不透明感が漂っています(2019年4月1.63→5月1.62→2020年→6月1.11→7月1.08)。
さらに、足元では雇用の喪失が急速に進んでいるとの情報がみられます。
厚生労働省によると、コロナ禍による全国の解雇や雇い止めは、1月末から8月31日までに5万326人(見込み含む)にものぼるそうです。
このように、今後の所得環境の悪化が予想される中、家計の消費支出は、特別定額給付金の支給による一時的な下支えには限界があり、抑制傾向が続くと思われます。
パチンコ支出への影響は推して図るべしです。