2020年8月29日
ヘビーユーザー化はいまだ高水準の状態にある
日本生産性本部により発表された「レジャー白書2020」の概要によると、パチンコ(パチスロ含む、以下同)の年間平均費用は10万3,400円で前年比21,600円増加したとのことです。
一方、パチンコ市場規模は20兆円、パチンコ参加人口は890万人と前年に比べ各々3.4%、6.3%減少しています。
市場規模も参加人口も減ったのに対し平均費用が増えたのは、ヘビーユーザー化が進行した結果と捉える向きが目立ちます。
たった1年でヘビーユーザー化がさらに進んだのかどうかについては言及を避けますが、長期的なトレンドをみると、近年のパチンコの平均費用が高い水準にある事は確かなようです。
パチンコに多額の資金を突っ込むコアなユーザー層の存在感が増しているとも言えます。
要因については、射幸性の高い機種を打つユーザーの人数が増えているか金額が増えているか、そのどちらともか、ということが考えられます。
これは、こうした機種に人気が集中しているのかお店のラインナップがそんな機種だらけなので打たざるを得ないのかよくわかりませんが。
一人当たりの市場規模は高止まるも伸びには抑制の兆しがみられる
以下に示したグラフは、レジャー白書の市場規模を単純に参加人口で割り、一人当たりの市場規模を算出した数値の年間推移です。
私は、おおざっぱに言って、お金をサンドに突っ込んだ金額とみなしています。大当りで出た出玉を景品に交換する前の使用金額と捉えてもいいでしょう。一人当たりの年間貸玉料といった感じでしょうかね。
グラフをみると、ピークは2013年で258万円です。その後は上昇と低下を繰り返しながらもピークを越えずに推移しながら2019年は前年を上回り225万円と高い水準にあります。
1円パチンコや5円スロットが普及し、安く遊べる環境が用意されている現在のほうが、4円パチンコ・20円スロット各々1強の時代よりも使用金額が高い水準にあるのはどういう事か推して知るべしです。
ちなみに、1円パチンコ・5円スロットが普及し始めたのは2006年頃からです。
一方、2013年にピークを付けて以降は高い水準ながらもピークを越えずに推移していると捉える事もできます。
顧客負担が上昇しているのは業界が最も分かっているはず
今後、パチンコ使用金額が、さらに上昇するのか逆に低下するのかについては予断を許しませんが、これまでの遊技機規則の改正や広告規制等の積み重ねにみられるように、監督官庁の方針としては射幸性は抑制される方向にあります。
また、個人所得の急激な伸びが期待しづらい環境の中では、パチンコユーザーの懐具合にも限りがある事とも合わせると、パチンコ使用金額が今後も大きく上昇するとは考えにくいです。
こうしたなか、パチンコ業界では、使用金額の増加を「顧客負担の上昇」と表現されているのを目にしますが、これ以上の顧客負担の引き上げはユーザーのパチンコ離れをさらに加速させる結果になりかねないと思います。
くれぐれも無理な顧客誘導と行き過ぎた利益追求だけは控えてほしいと願うばかりです。