2020年8月24日【記事更新:2021年9月28日】
更新箇所について:掲載データを2021年9月28日発表資料による2020年データへ更新しました。
パチンコ(・パチスロ)市場規模は前年を大きく下回り過去最低水準を更新
以下のグラフを見てください。
パチンコ(・パチスロ含む、以下同)市場規模は2005年にピークをつけた後はほぼ一貫して減少しています。
2005年は34兆8,620憶円です。
2020年は14兆6千億円と、前年と比較すると-27.0%の大幅減となり、15年間では6割近く(-58.1%)も減少しました。
1990年代初めのバブル経済崩壊以降、景気低迷と共に市場規模は縮小しましたが、同年代終盤から2000年代初めにかけて回復し2005年にピークをつけた後は衰退の一途を辿っています。
ここ10数年のパチンコ・パチスロを取り巻く環境をみると、2004年の遊技機規則改正の影響が冷めやらぬ中、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)といった大事件が経済に影を落とし、消費税5%からの増税(→8→10%、→2014→2019年)がそれに追い打ちをかける形となりました。
この間、集客イベントが事実上開催できなくなるなど広告規制が年々厳しさを増し、また、遊技機は高射幸性から低射幸性へ出玉を規制される流れが続いています。
参加人口は下げ幅を拡大し過去最低水準を更新
参加人口をさかのぼって見ると、データが入手できた1995年(2,900万人)から1999年(1,860万人)にかけて、たった4年間で3割以上(-35.9%)も減少した後は、落ち込みと回復を繰り返しながらも漸減しています。
2017年には900万人にまで減少したものの、2018年には950万人とやや持ち直しの兆しが見えたかに思えましたが、2019年には再び落ち込み890万人(前年比6.3%減)と過去最低を記録することとなりました。
2020年は人の流れを抑制する事を始めとした政府による感染症対策の全国への浸透や、人込みを避けるなどの一般的な風潮の広がりの影響等により、パチンコ店への客足は遠のき、参加人口は一段と下げ幅を広げ710万人(前年比20.2%減)となりました。
パチンコ市場規模と参加人口の減少要因
パチンコ市場に流れるお金(市場規模)と打ち手(参加人口)が減っている最も大きな要因は、個人所得の伸び悩みといった打ち手の不透明な所得環境が続く中で、様々な理由がきっかけとなり、パチンコ遊技に対する魅力が薄れているからに他ならないでしょう。
以下に巷で言われている減少要因を市場規模と参加人口とに分けて列記しました。
●パチンコ市場規模の減少要因
・パチンコ参加人口が減少した。
・一部のコアな客は存在するものの、全体としてはパチンコ客が遊技に使うお金は伸び悩んでいる。
●パチンコ参加人口の減少要因
・娯楽の多様化によりパチンコ以外の余暇活動へ客が流れた。
・法改正で機械の射幸性が低下傾向にあり、遊技に魅力を感じなくなった客が後を絶たない。
・以前から取り沙汰されているパチンコ依存症問題やパチンコ店駐車場での子供の車内放置といった例にみられるような不健全なイメージが拭われ切れない事による遊技参加へのためらい。
なお、射幸性の低下傾向については、遊タイムや小当りラッシュの他、超高継続率ラッシュ(ツインループシステムなどの2回以上の大当り濃厚といった仕組みも含む)、突サポ(突然時短)等といった、昨今のパチンコ機のスペックの多様化により異論もあるでしょうが、規制そのものの大きな流れは低射幸性を狙ったものに変わりないと思います。
期待されるのはパチンコのイメージ改善と遊びやすい環境づくり
こうしてみると、市場規模が底入れし回復に向かうには、個人所得が伸び悩む中でも遊びやすい環境が整えられる事や、パチンコのイメージが正しく認識される事により、参加人口の減少にいかに歯止めを掛けられるかにかかっているように思えます。
パチンコのイメージについては、業界のたゆまぬ努力が続いており、今後改善は進むと期待されます。
しかしながら、遊びやすい環境づくりについては、関連業界の収益が絡む問題でもあり簡単には解決しづらいと思います。なぜパチンコ離れが続いているのかの要因を、皆が真摯に受け止めたうえでの抜本的な対策が進む事を祈念いたします。