2020年8月8日
パチンコ店の6月の売上は前年比3割減と下げ幅縮小
経済産業省の特定サービス産業動態調査によると、2020年6月のパチンコ店売上高(全数調査ではない)は195,270百万円で前年同月比-31.3%の減少と前月の激減(-77.5%)より下げ幅を大きく縮小しました。
コロナ禍により5月に全国的に休業したパチンコ店の営業が、ほとんどのお店で再開されたためです。
しかしながら、12か月連続で前年割れが続いています(下のグラフ参照)。
営業再開後の客足は徐々に戻りつつあるが依然前年割れ
営業再開直後は、特に高齢者を中心に客足の戻りが鈍い事が指摘されていましたが、徐々に戻りつつあるようです。
それでも、いまだに前年の水準には届かないとの情報が多いです。
一方、6月6日や7月7日、8月8日などの特定の日には、普段以上に活況なお店も一部にはあったようですが、全体としては前年割れが続いているようです。
パチンコ離れが続くなかでの新台導入費削減への懸念
こうしたなか、懸念されるのは、売上の前年割れが12か月続いていることです。
これは、家計消費支出(二人以上の世帯、前年同月比)が2019年10月以降、前年を下回り続けている事と相関関係が見て取れます。
消費マインドが低下傾向にあるということは、当然、パチンコへの支出の減少にもつながります。
これに、以前からの広告宣伝規制や射幸性を抑えた遊技機への転換(一定期間先延ばしされてはいるが)による影響も加わります。
パチンコ離れに歯止めがかからない環境に変わりはありません。
また、集客手段の要の1つである新台入替ですが、売上が低迷している状況下、コストのかかる新台導入を控えようとするお店が目立つようです。
シーズリサーチによるパチンコ店の「新型コロナウイルスに関する調査(7月20日公開)」によると、今後のコスト削減予定の項目では、「新台の購入費」が最も高い割合で87.4%となっています。
長い目で見て収益を生み出す新台の導入を控えるわけですが、代替となる施策を打ち出さない限り、将来に渡っての集客への影響が懸念されます。
客足は戻りつつあるが、特別定額給付金の支給による一時的な現象の可能性も捨てきれない
家計消費支出(前年同月比)は、消費税増税の影響もあり2019年10月以降、前年を下回る傾向にあります。
6月は-1.2%と、コロナ禍の全国民外出自粛に影響を受けた4月(-11.1%)5月(-16.2%)に比べ改善してはいるものの依然マイナスのままです。
一方、世帯収入(前年同月比)は、ここ1年ほど大幅な減少がみられないのがせめてもの救いです。さらに、5月は前年比9.8%増、6月は15.7%増と大幅な増加が続きました。
これは、特別定額給付金の支給が行われた影響によるものとの意見が大方を占めます。
パチンコの売上への貢献も否定できないでしょう。
そうなると、支給の効果が終わった後の客足は再び落ち込みが予想されても不思議ではありません。
雇用意欲の減退によりパチンコ支出の先行きに不透明感も
この間、有効求人倍率は2019年5月以降、低下傾向にあり、企業の雇用意欲に先行き不透明感が漂っています(2019年4月1.63→5月1.62→10月1.58→2020年4月1.32→5月1.2→6月1.11)。
さらに、足元では雇用の喪失が急速に進んでいるとの情報がみられます。
厚生労働省によると、コロナ禍による全国の解雇や雇い止めは、1月末から7月31日までに4万1,391人(見込み含む)にものぼるそうです。
このように、今後の所得環境の悪化が予想される中、家計の消費支出は、特別定額給付金の支給による一時的な下支えはあるものの、依然として抑制傾向だと考えられます。
パチンコ支出への影響が続きそうです。