2020年7月26日
パチンコ店の厳しい広告規制は異常事態
企業のイメージ広告についても自粛を促されるなど、先のコロナ禍によりほぼ全面的に制限されたパチンコ店の宣伝広告は、現在、休業要請の解除により制限が緩和されています。
しかしながら、以前の状況に戻っただけで、イベント告知の事実上の禁止といった厳しい広告規制が続いていることに変わりはありません。
普通に考えると、これは異常な事態なのです。
企業は、集客に必要な広告宣伝を行わずに存続できるものなのでしょうか。
たとえば、スーパーやコンビニが目玉商品の販促を行わなかったとしたら、消費者は生命を維持するために最低限必要なものしか買わないでしょう。そんな販売意欲のないお店に誰が足を運びましょうか。
パチンコは、おそらく生きるために最低限必要なものではありません。
このままでは、パチンコ店に誰も通わなくなり、日本中からお店が消えてしまってもおかしくありません。
広告宣伝の厳しすぎる制限(自粛といった体裁を含む)は、企業の存続自体に影響する大問題なのです。
今の広告規制強化の発端はいつからか
パチンコ店の広告は、著しく射幸心をあおってはいけないとのことから規制されてきました。
ネットで過去にさかのぼると、2011年8月から厳しさが増したといった記述が目立ちます。
この機を境に、事実上、イベント告知がほぼできなくなったようです。店内外に関わらず、テレビ・ラジオ、新聞、チラシの他、メール配信等媒体を問わずです。
特定の台や設定状況をうかがわせる表示については以前から規制されていましたが、より厳しくなりました。
当時、使ってはいけないとされた表現は以下のとおりです。これら以外にもたくさんあるようです。
●イベント、赤字、最強、強化、ジャグラー祭り、おすすめ台、金銀銅、ドリーム、サメ・エビ・アンコウ、MAX、店長いち押しなど。
集客可能な告知方法は、「新台入れ替え」や「グランドオープン・新規開店」くらいとなり現在に至ります。
集客が思うようにいかないと、売り上げは減り、お店は出玉還元しづらくなります。回収日が増え、パチンコユーザーが遊びづらくなるのです。
他業界と比べると厳しすぎるイベント規制は不公平
イベント告知は新台入替など一部を除くほぼ全ての方法が射幸心をあおると捉えられるようで、事実上、行えなくなっています。
少し前までのパチンコ店では、集客手段の多くをテレビ・ラジオ・インターネット関連等での派手なキャッチコピーの広告や有名人来店行事等のイベント的な宣伝に頼っていた感が否めませんが、他の業界では普通にやっていることです。
前項でも同様の内容を述べましたが、大事なことなので繰り返します。
例えば、そのへんの街中を歩いていても、「業界最安値、赤字覚悟、赤札市、処分価格、出血大サービス」など数えきれないほどの大げさなキャッチコピーを目にしますが、これって普通ですよね。宣伝できなくなったら、お客さんが集まらずに企業の死活問題につながると思います。
それが、大きく制限されたのがパチンコ業界ですからね。不公平に感じるのは自分だけでしょうか。
じゃあ、設定を入れたり回るような調整で出玉還元して集客すればいいといっても、そもそも台を長時間回してくれるようなお客さんが減っているのでままならない。
お金を出してくれるお客さんが集まらないと、お店が還元する資力まで弱まるので、さらに回収傾向にならざるを得ません。
残った常連客も懐具合が悪くなりお店から足が遠のきます。
最後は共倒れですよね。
個人的には悪質で詐欺まがいのものでない限り、多少は煽って宣伝してもらっても全然けっこうなのですが。それで、きつい回収ばかりの営業に歯止めがかかるのならば。
動画「パチンコ店買い取ってみた」の店舗紹介
既存の広告枠にとらわれない独自の手法で経営内容の一部や店舗紹介についてPRを行う人気のパチンコ店経営者がいます。YouTubeやニコニコ動画に投稿を続ける「パチンコ店買い取ってみた」のひげ紳士さんです。
経営状況の報告やお店の設備、台の入替の解説など、パチンコ店の日常風景を題材にした動画投稿の草分け的存在です。
プロデューサーのPさんと名乗る方も声の出演をされているので、それなりの企画・戦略を立てての露出なのでしょう。
先日、2号店となるゲームセンターもオープンしました。
真価が問われるのはこれからでしょうが、ユーザー目線を重視した遊びやすい環境づくりを目指している点には着目すべきだと思います。
ネット媒体を使った宣伝広告へのシフト
現在では、ひげ紳士さんに追随するかのように店舗紹介の動画を投稿するパチンコ店が続々と登場しています。
パチンコ店の広告宣伝に関する規則がどう関わるかといった事は別にして、ネットへの動画投稿が集客手段のスタンダードの1つになりつつあるのかもしれません。
また、SNS(ツイッター等のソーシャルネットワーキングサービス)による店舗情報の発信は今に始まったことではありませんが、最近は特に目立ってきています。
アイドル的存在となった従業員のつぶやきにかなりのフォロワー数を集めているお店もみられます。
SNSでの発信は、新台入替や入店時抽選の案内などの発信が主たる目的だとは思いますが、人気の従業員のいるお店の稼働は伸びているとの情報もあります。
結果として集客につながっているとみられるケースもあるわけです。
この他、出玉状況を各店舗ごとにまとめ公開するなど、第三者によるネット情報の発信も珍しくなくなってきています。
現在、イベント広告は制限されていますが、特定の日(旧イベント日)に来店客が偏るようなお店にとって、こうした第三者による情報発信は集客戦略の一環として気に留めないわけにはいかないでしょう。
パチンコ店の信頼性向上へ向けて
規制が厳しくなっているパチンコ店の広告は、その活路を一段とネット媒体へ求めているようです。
ただ、特定の日やSNSの人気ばかりに頼り一時的な集客に成功しても、それが持続できなければ経営は安定しません。
経営が安定しなければ、その影響は我々パチンコユーザーに跳ね返ってきます。
お店を支えているのはいつも打ちに来てくれる常連客です。
特定の日に一時的に甘く調整する一方、普段はきつい回収といった営業を繰り返すお店もあれば、いつもさほどきつくない調整で安定した通常営業を行うお店もあります。
常連客がどちらに定着しやすいかは自明の理でしょう。
今ある営業態勢を急に変える事は難しいかもしれませんが、常連客が安心して遊べるといった観点で営業努力を積み重ねれば、ゆるぎない信頼が培われると思います。
なお、丁寧な接客や満足のゆく店舗環境・サービス、感染症対策等の実施は当然の事とした上での話です。