2020年7月9日
パチンコ店の5月の売上は前年比8割近くも激減
経済産業省の特定サービス産業動態調査によると、2020年5月のパチンコ店売上高(全数調査ではない)は66,584百万円と前年同月比-77.5%の大幅な減少となりました。11か月連続の前年割れです(下のグラフ参照)。
5月はコロナ禍によるパチンコ店の休業が全国に広がり、ゴールデンウィークにはほぼ100%近くのお店が休業に入りました。
営業再開後の客足も激減
全国的休業による売上への影響は大きいです。
ただ、5月10日頃までにほぼ半数の県では営業を再開しています。
それにも関わらず、全国の売上が8割近くも減少しているのは営業再開後の客足がかなり減ったことを裏付けています。
SNSなどからの情報では、全体的に減るなかでも、特に高齢者の減少がひどいとの事でした。
その後、日が経つにつれ徐々に客足は戻りつつあるようですが、それでも前年の水準には届かないとの情報が多いです。
一方、6月6日や7月7日などの特定の日には、普段以上に活況なお店も一部にはあったようですが、全体としては減っています。
パチンコ離れは続いている
こうしたなか、懸念されるのは、売上の前年割れが11か月続いていることです。
これは、家計消費支出(二人以上の世帯、前年同月比)が2019年10月以降、前年を下回り続けている事と相関関係が見て取れます。
消費マインドが低下傾向にあるということは、当然、パチンコへの支出の減少にもつながります。
これに、以前からの広告宣伝規制や射幸性を抑えた遊技機への転換(一定期間先延ばしされてはいるが)による影響も加わります。
パチンコ離れは続いているのです。
客足は戻りつつあるが、特別定額給付金の支給による一時的な現象の可能性もある
家計消費支出(前年同月比)は、消費税増税の影響もあり2019年10月以降、前年を下回る傾向にあります。
一方、世帯収入(前年同月比)は、ここ1年ほど大幅な減少がみられないのがせめてもの救いです。さらに、5月は前年比9.8%増と大幅に増加しました。
これは、特別定額給付金の支給が開始された影響によるものとの意見が大方を占めます。
支給は7月現在でも続いていることから、消費の落ち込みを下支えしているとも考えられます。
支給がなければ、さらに消費は落ち込んでいたとみることができます。
パチンコの売上への貢献も否定できないでしょう。
そうなると、支給の効果が終わった後の客足は再び落ち込みが予想されても不思議ではありません。
雇用意欲の減退によりパチンコ支出の先行きに不透明感も
この間、有効求人倍率は2019年5月以降、低下傾向にあり、企業の雇用意欲に先行き不透明感が漂っています(2019年4月1.63→5月1.62→10月1.58→2020年4月1.32→5月1.2)。
さらに、足元では雇用の喪失が急速に進んでいるとの情報がみられます。
厚生労働省によると、コロナ禍による全国の解雇や雇い止めは、1月末から7月1日までに3万1,710人(見込み含む)にものぼるそうです。
月別にみると、4月の2,654人に対し、5月は1万2,952人、6月1万2,688人と急激に増加しています。
このように、今後の所得環境の悪化傾向が予想される中、家計の消費支出は抑制が続いています。
パチンコ支出への影響は避けられないと思われます。