2020年6月3日
期待値が入り勝てる可能性の高い優良台は今後も投入されるが減る公算が大きい
パチンコ・パチスロは勝ちづらくなったと言われ続けて久しいですが、実際のところ、どうなのでしょう。
結論から言います。優良台の投入は無くなりませんが、しばらくは減ることはあれど増えはしないでしょう。
なぜそうなるのか。それは、パチンコホールの収入が減り続けているからです。
パチンコホールは営利企業ですので、必要な利益を確保しなければ経営を維持できません。十分な収入が得られてこそ優良台の投入が可能なのです。
先日、ダイナムジャパンホールディングスの2020年3月期決算が発表されました。業界トップの店舗数を誇る大手パチンコホールです。
貸玉収入は732,862百万円で前年比4.7%の減少、営業収入は141,919百万円の3.0%減となりました。年次推移については記事の最後に表を載せてあります。
パチンコユーザーが年々減少しているなかでは、ダイナムさんだけではなく、全国の他の企業でも前年割れといった傾向になるであろうことは想像に難くありません。
それを裏付けるように、特定サービス産業動態調査によると、パチンコ店の2020年3月の売上(営業収入に相当)はコロナ禍による客足の減少の影響もあり前年比2割の大幅減で、2019年7月以降9か月連続の前年割れとなっています。
取り巻く環境はますます厳しさを増しているのです。
パチンコ店の営業スタイルは出玉還元による集客が主流
パチンコ・パチスロで今後も稼ぐことができるのかどうかについては、還元率の動向を見れば分かりやすいです。
還元率とは投資額に対して払い戻される割合のことです。優良店を含む一般的なパチンコホールで15%前後と言われています。全体では20%前後になるかと思います。
実際には特定の日に還元日を設け、出玉で還元することにより集客し、通常営業日に回収するのが一般的な営業スタイルです。その平均値が還元率です。
還元日には一部の台をパチンコユーザーが勝ちやすいように調整します。スロットの機械割を100%超に設定したり、パチンコの期待値がプラスになるよう調整するのです。それらの機械台数や調整度合の強弱はホールの方針により違います。
還元率が高いということは、還元日をたくさん設けたり、還元する台数が多かったり、優良な調整度合が強かったりする事につながります。
ただ、近年は特定の日の出玉還元を抑える代りに、通常営業日での回収を緩めるスタイルのホールもみられるようです。こうしたホールでは通常日は負けにくいが特定日でも勝ちにくいといった事になりますね。
集客さえ伴えば、出玉還元日そのものを設定する必要がなくなるわけですが、出玉をアピールして集客するのがこの業界のビジネスモデルの主流なので、まだ先の事でしょう。
還元率は減少傾向
ダイナムジャパンホールディングスの決算データから還元率の動向を見てみます。
還元率は公表されていませんので収入と経費から推測しました。還元率に準じた数値だとお考えください。
決算書に貸玉収入と景品出庫額(経費に相当)という項目があります。
貸玉収入は客がサンドにお札を突っ込んで玉を買う(借りる)あれです。
景品出庫額は、大当たりを引いて出た玉を計数機に流してレシートをカウンターに持っていったらプラスチック製のちょっぴり金が入ったケースに換えてくれるので、それを交換所で買い取ってくれるあれです。
それと、お菓子とか小物とか洗剤とか、クジラッキーのぬいぐるみとか、おもちゃとかもです。
ジャンジャンと玉を出してホールが大盤振る舞いすると景品出庫額が増えるし、逆に絞ると減る。だから、景品出庫額の割合も減る。つまり、パチンコユーザーの取り分も減る。
その景品出庫額が貸玉収入に対してどのくらいの割合なのかをグラフ化しました。
年が経つにつれ、グラフは右肩下がりの傾向です。
2013年3月期には82.4%あった比率も2018年3月期には80.4%にまで落ち込み、翌2019年に81.0%とやや増加しましたが、2020年は80.6%と再び前年を下回りました。2013年と2020年との差は-1.8%です。貸玉収入が急回復する兆しはみられないので、しばらくは減少傾向で推移すると考えるのが自然です。
実際の稼働にどう影響するのか
還元率の低下が実際の稼働にどう影響するかを計算してみましょう。還元率の減少分がそのまま出玉の減少に反映すると仮定します。
私オカパチクローバーが6か月間で打ち込んだ投資玉数は945,405玉でした。
出玉が1.8%も減ると半年で-68,069円分減少することになります(945,405玉×1.8%×4円)。
年間に引き直すと13万円も取り分が減る計算になりました(-68,069円×2=-136,138円)。
この時の平均稼働時間は1日3時間程度でしたので、打ち込み量の多い方はもっとダメージが広がることは容易に想像できるでしょう。
ダイナムは香港証券取引所に上場(上場コード:06889)しています。
データの出典はすべてダイナム様のIR資料からお借りいたしました。