パチンコ店の休業が全国の経済や雇用に与える影響 ~ 4月7日から5月14日までの休業による影響

202059日 

本記事の要旨

●新型コロナウイルスの感染症対策としての非常事態宣言に伴う休業により、全国のパチンコ店の粗利は3千億円近くが失われると推計される。市場規模では14770億円相当となる。(202047日から514日まで38日間の休業)

●雇用への影響も大きく、全国パチンコ店の1割、22千人に人員削減圧力がかかる。

●休業要請解除により営業再開の動きが広まりつつあるが、一度減った客足がいつ戻るのかといった先行き不透明感が漂よっている。人を抱えるパチンコ店は現状にどう向き合うかについて最良の選択肢を選ばなければならないが、今がその正念場にある。

パチンコ店は一部の県で営業再開

202047日からの政府による新型コロナウイルス感染症対策としての非常事態宣言を端とした全国的なパチンコ店休業は、57日から行動制限が緩和されたのに伴い、休業要請が解除された地域を中心に営業が再開され始めています。

10日過ぎからは、ほぼ半数の県で営業が再開される見通しです。

また、政府が14日を目途に緊急事態宣言を解除する可能性について言及していますので、多くの地域で営業再開に転じる可能性が出てきています。

稼働店舗の客足は伸び悩み

営業再開地域における客入りは、休業前と変わらずか、むしろ減っているとの情報が目立ちます。

全国的な長期間の休業によりパチンコから離れた客足が、いつ、どこまで戻るのかは未知数です。

また、新型コロナウイルスに感染した場合、高齢者が重症化しやすいとの報道が浸透したこともあり、主要客である高齢者の客離れが顕著になったこともあるでしょう。

総じて稼働は低下したとみるのが自然でしょうが、今回の推計には加味していませんので、実際の損失額はもっと膨らむかもしれません。

昨今、休業要請中の地域で無理に営業している店舗に客が殺到しているとの報道が目立っていますが、9割以上の店舗が休業していた中では一部の現象です。

全国的なパチンコ店休業により3千億円近くの粗利が失われる

パチンコ店の休業開始時期も休業期間も各々の地域や店舗によって違います。ネットから集められる情報を基に粗利の損失額を推計しました。休業実施期間は47日から514日までの38日間としました。

結果は、47日から514日までの全国のパチンコ店の粗利損失額を2,950億円と推計しました。詳細は下の表をご覧ください。

先に推計した47日から56日までの損失額は2,250億円でしたが、休業延長により新たに700億円の損失が追加されました。

市場規模では1兆4千770億円相当と見込みました。2019年の市場規模を198,000億円と仮定すると、7.5%の規模です。

市場規模は平均すると2006年からほぼ年率4%程度で減少しています。年間の平均減少率をわずか1か月余りで大きく超えてしまうほどの落ち込みです。


緊急事態宣言発令後の粗利損失額の予想4月7日~5月14日

パチンコ店の休業による粗利損失額 5月7日~14日

全国のパチンコ店は22千人の雇用を失う恐れ(産業連関分析ツールを使った推計)

47日から514日までの全国のパチンコ店の休業によるマイナスの経済波及効果は4,01680百万円となりました。他産業への影響も含め、粗利の1.36倍、4千億円超の需要が失われることとなります。

また、就業誘発効果のマイナスの影響は33,473人となり、このままだと33千人超の雇用が失われる恐れがあります。

これは、他産業への波及効果を含んだ人数です。

直接効果の割合をかけるとパチンコ店の人数に近づくと思います。

生産誘発効果(マイナス)のうち直接効果の占める割合は67%で、22,427人です。

パチンコ店の雇用人数は、パチンコ・チェーンストア協会の調査によると22万人との情報があります。

これは、全国パチンコ店の雇用の1割に影響を与える規模になります。(22,427÷220,000人=10.2)


全国パチンコ店休業の経済波及効果4月7日~5月14日

再度の休業が発生する恐れはある

今回の全国的な休業はあまりにも急激であり、企業努力だけで雇用喪失圧力を吸収するには限界があります。

こうしたなか、いち早く休業に踏み切った全国展開パチンコホールの中には、各都道府県へ要望書を送ったところがあります。公的助成の制限緩和および経済支援の拡充を求めるといった内容です。

パチンコ関連の組合団体は、警察庁あてに、旧規則パチンコ・パチスロ機の撤去期限の延長について要望書を提出しました。これは、パチンコ店の機械入替費用支出の先延ばしを要望する事により資金繰りを支援する動きとなります。

また、これまで公的融資の対象外だったパチンコ店が対象業種に追加されます。

それでも感染症対策は続いています。

今後についても、政府・行政の方針により休業を余儀なくされる事態が再度発生する事は十分に考えられます。

一度減った客足がいつ戻るのかといった先行き不透明感が漂う中で、多くの従業員を擁するパチンコ店は現状にどう向き合うか選択肢を選ばなければならないが、今がその正念場に違いありません。

推計にあたっての前提条件と推計方法

●推計期間は202047日から514日までの38日間。ただし、地域による休業期間の違いを加味してあります。

●計算のグループを7都府県、6道府県とその他のグループに分けて推計してあります。

その他のグループはさらに休業期間別に分類して計算しました。

7都府県は47日の早い時期から休業に入った地域で、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡。6道府県はその次に早い時期から休業した地域で、北海道、愛知、茨城、京都、石川、岐阜。

緊急事態宣言発令が7日からの7都府県と、16日からのグループで特定警戒区域に新たに指定された形となった6道府県に分けた形となっています。

●休業店舗は徐々に増えていったので、行政から緊急事態宣言や休業要請が発令された時期を区切りとして、休業店舗の割数を、主にネット情報からおおまかに想定しました。

●各都道府県の粗利はパチ・スロ機設置台数が全国に占める割合に応じて推計しました。

2018年の市場規模の20%を粗利と仮定し、2019年の粗利を推計しました。各推計値はこの2019年の粗利がベースとなっています。

●機械11日あたりの粗利は推計値です。~2019年全国月間粗利推計値÷全国機械設置台数÷30店休日2日) 329,820百万円÷4,302,552÷28日=2,738

●ゴールデンウィークは通常月より集客が大幅に見込めるため130%の割増で計算しました。

●産業連関分析ツールはネット上に公開されていない県があるようです。また、47都道府県を全て分析するとなると、作業時間が膨大になります。このため、入手できた12都道府県の産業連関分析を行い、その平均値を使い全国の経済波及効果を測定しました。

12都道府県は、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡、愛知、茨城、岐阜、石川、北海道です。

結果、以下のような基準が算出され、これらを基に推計しました。

12都道府県の経済波及効果を合算すると粗利の1.36倍となった(第2次波及効果まで)。

●就業誘発効果は粗利12百万円を生み出す(失う)ごとに1人の割合で発生する。

※第2次波及効果=生産で発生した雇用者所得が消費に回り、さらに生産を誘発する効果。

パチンコ店の2019年粗利予想

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