2020年5月 4日
景気停滞・規制強化の中での遊技人口減少
ここ10数年のパチンコ(パチスロ)を取り巻く環境をみると、2004年の遊技機規則改正以降、パチスロ5号機問題の影響が冷めやらぬ中、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)といった大事件が経済に影を落とし、消費税増税(5→8→10%、2014・2019年)がそれに追い打ちをかける形となりました。
この間、集客イベントが事実上開催できなくなるなど広告規制が年々厳しさを増し、また、遊技機は高射幸性から低射幸性へ出玉を規制される流れが続いています。
こうした状況下、2018年のパチンコ遊技人口(参加人口)は950万人(レジャー白書2019)と、2008年の1,580万人から10年で約4割減少しています。
市場規模が縮小する中でのパチンコ店減少
パチンコの市場規模をみると、2018年は20兆7千億円と2008年の28兆8,190億円から10年で約3割縮小しています。
厳しい環境が続いたことから、パチンコ店の店舗数(営業許可数)は2018年に10,060店と2008年の12,937店から10年で約2割減少しました。2019年には9,639店とさらに減少しています。
これは、市場規模が28億円縮小すると、パチンコ店1店が閉店に追い込まれる計算になります。
市場規模の直近のピークは2005年で34兆8,620億円です。ここから2018年の20兆7千億円まで年平均4%程度で縮小しています。
このままの傾向が続くと、2025年の市場規模は15兆5千億円と推計されます。
同様の計算で2019年の市場規模は19兆8千億円となりましたので、今後は差し引き4兆3千億円の縮小分に見合うだけの店舗数に閉店圧力がかかります。
実際には新規開店もありますので、閉店数はもっと増えると考えられますが、データが揃えられないので考慮しません。
先述したとおり市場規模28億円の縮小で1店舗減少すると、4兆3千億円では約1,500店舗余りが減少する計算になります(4兆3千億円÷28億円=1,535店)。
今から5年後の2025年の店舗数は約8千店と推計されます(9,639店-1,535店=8,104店)。
ネットの情報を見る限り、ここ1か月ほどの全国的な休業により閉店を余儀なくされた店舗が目立つようです。
本来ならば数年先に起こるであろう店舗数の減少分までもが、今回の新型コロナウイルス感染症対策による需要減のために、かなり前倒しで発生する恐れがある事は否めません。